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「ガスシステム改革」 詳細解説

読み:
がすしすてむかいかく
英名:
Gas System Reform

エネルギー分野において、政府が2014年4月のエネルギー基本計画で示した「市場の垣根を外していく供給構造改革」を推進するためには、市場ごとの縦割型産業構造を打破する制度改革が必要だ。このため、電力小売全面自由化などを柱とする電気事業法の改正(電力システム改革)が行われた。一方、ガス分野においても、家庭へのガス供給が一般ガス事業者にしか認められていないなどの参入障壁が存在することから、ガス市場の垣根を取り払う「ガスシステム改革」を実現するために、2015年6月にガス事業法が改正された。

ガス事業法の改正によるガスシステム改革は、小売参入の全面自由化、ライセンス制の導入、LNG(液化天然ガス)基地の第三者利用、ガスを供給する「導管」網の整備促進、保安の確保、導管部門の中立性確保などから成る。第一の「小売参入の全面自由化」は、一般ガス事業者にしか認められていなかった家庭などへのガス供給について、小売の地域独占を撤廃する。具体的には、登録を受けた事業者ならガスの小売事業に参入できるようにする。また、小売料金にかかる規制を原則として撤廃する。

第二の「ライセンス制の導入」は、従来の一般ガス事業や大口ガス事業などの区分がなくなることを受けて、LNG基地事業と特定ガス導管事業を届出制に、一般ガス導管事業を許可制に、ガス小売事業を登録制にする。第三の「LNG基地の第三者利用」は、LNG基地を保有する事業者に、第三者による基地の利用を理由なく拒否することを禁止する。第四の「導管網の整備促進」は、導管事業に関する地域独占と料金規制は維持しつつ、全ガス導管事業者に、導管を相互接続する努力義務を課す。

第五の「保安の確保」は、導管網の保安や、小口需要家が保有する内管の点検及び緊急保安などの対応を、ガス導管事業者に義務づける。一方、ガス湯沸器など消費機器の調査及び危険発生防止の周知を、消費者と接する機会が多いガス小売事業者に義務づける。第六の「導管部門の中立性確保」は、託送料金を支払えば誰でもガス導管ネットワークを自由かつ公平・平等に利用できるようにする。また、東京・大阪・東邦のガス大手3社に対して、LNG基地事業及び小売事業とガス導管事業の兼業を原則禁止する。これを「導管部門の法的分離」と呼ぶ。

上記改正のうち、小売参入の全面自由化は2017年から、法的分離は2022年4月1日からそれぞれ施行される。

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