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「グリーン電力」 詳細解説

読み:
ぐりーんでんりょく
英名:
Green Electricity

日本では、消費者は電力会社から電力を購入している。そして、供給される電力は、火力や水力、原子力などのエネルギーによって発電されてきた。しかし、市民の環境意識が高まり、CO2の排出による地球温暖化や、原子力の安全性などが懸念されるようになると、これら既存のエネルギー源ではなく、風力や太陽光など、自然由来で再生可能なエネルギーで発電した電力を望む声が出始めた。

 こうしたグリーン電力を導入する取り組みは、自然エネルギーの普及が進んだ欧米が先行している。グリーン電力発祥の地とされる米国では、消費者がグリーン電力を選択して購入できるプログラムを用意する電力会社もある。こうしたプログラムは、カリフォルニア、コロラドなど各州で行われていて、全米では数百を数えるといわれている。

また、欧州では、脱原発や地球温暖化対策などを理由に、北欧諸国やデンマークのように、自然エネルギーの導入を官民あげて進めてきた国が多い。特にドイツは2000年に、風力などの自然エネルギーで発電した電力を、固定価格で買い上げることを骨子とする「再生可能エネルギー法」を施行。EU各国もこれにならって様々な制度をつくっている。

日本では、1999年に初のグリーン電力である北海道グリーンファンドが誕生。翌2000年には電力各社が「グリーン電力基金」を発表した。グリーン電力基金は、CO2の排出抑制など環境保全への貢献を望む市民からの寄付金と、電力会社からの寄付金を基金にして、太陽光や風力など自然エネルギーの発電設備に助成金として配分する仕組みだ。すでに数カ所で市民風車が運転を解している。

また、同じく2000年に始まった「グリーン電力証書」は、自然エネルギーによる発電に伴って発生する、化石燃料の節約やCO2排出削減などの環境付加価値に対して発行されるものだ。企業やNPOが実施主体として運営している。証書の購入によって、一般の企業などは自主的な環境への取り組みを進めることができる。実際に、グリーン電力証書を自社利用している企業もある。

直接グリーン電力の供給を受けていなくても、証書を購入することでグリーン電力を購入したとみなされる。このため、官公庁や自治体、環境NPOなどの間に導入が広がっている。さらに、インターネット上で個人向けにグリーン電力証書を販売する仕組みも始まっている。こうしたグリーン電力の認証は、グリーン電力認証機構が中立的な第三者機関として実施している。

グリーン電力証書の普及や基金による設備の誕生に伴い、風力発電で織ったタオルが人気を集めたり、コンサートなどのイベントの電力を賄う試みも行われたりしている。一般市民がグリーン電力の存在を知る機会は増えつつある。今後、環境負荷の少ない電力を選んで買うという、グリーン電力本来の目的が浸透することが求められる。また、自然エネルギーを含めた日本の新エネルギー政策については、欧州に比べて導入目標が低く、買い取りに関する制度設計の面でも批判が多く、さらなる議論が必要だ。

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