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「自然の権利」 とは

読み:
しぜんのけんり
英名:
Rights of Nature

野生生物を含めた自然に、人間と同じような権利を認めようとする法学上の考え方。米国における種の保存法(絶滅の危機にある種の法:ESA)には、絶滅のおそれのある種に対する侵害行為に対して、市民が裁判に訴えることができる市民訴訟条項がある。同国では1978年に、キムネハワイマシコの「パリーラ」という小鳥を原告とする裁判が提起され、原告を「パリーラ」としたままで勝訴した例がある。

日本には、自然の権利をはっきりと根拠づける法律は今のところない。このため、法律を自然の権利という視点から解釈し、実質的に自然の権利が認められるようにするための活動が進められている。1995年2月に提訴された「奄美自然の権利訴訟」は、奄美大島の乱開発による自然破壊でアマミノクロウサギなどが被害を受けたとするもので、アマミノクロウサギやアマミヤマシギ、ルリカケス、オオトラツグミが、種として訴状の原告欄に名を連ねた。

その後も動物を原告とする訴訟が起き、2003年には、沖縄県名護市辺野古沖に計画されている米軍普天間飛行場代替施設の建設に関して、ジュゴンの棲息地を含む沖縄の自然環境への適切な配慮を求める内容の訴訟が米国の連邦裁判所に提起された。この訴訟については、2015年2月にサンフランシスコ連邦地裁が、工事差し止めの権限が裁判所にはないとして、原告の訴えを棄却している。

自然の権利をどこまで認めるべきかについては意見が大きく分かれている。それでも、自然保護を裁判という公の議論の場にもち込むことで、これまで成立しにくかった開発側と反対側の間で建設的な議論の場が成立する可能性はある。また、問題の所在を広く世間に知らせることにもつながる。

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