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「カネミ油症事件」 とは

読み:
かねみゆしょうじけん
英名:
Kanemi Rice Oil Disease

1968年、福岡県や長崎県を中心に西日本一帯で発生した、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などによる大規模な中毒事件。福岡県下で多発した皮膚病を発端に、手足のしびれやいわゆる「黒い赤ちゃん」の確認など深刻な健康被害が相次ぎ、疫学調査の結果、カネミ倉庫社製の米ぬか油(ライスオイル)に製造工程中に熱媒体として使用されたPCBが腐蝕したパイプの孔からもれて油に混入し、この油を食用に供した人たちに被害が起きたことがわかった。

その後の研究により、PCB以外にも、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)やポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)などのダイオキシン類が混入して発症したことが判明した。油症患者の体内に吸収されたPCBやダイオキシン類は、腸管や皮膚、母乳などを通してゆっくりと排泄される。このため、体内のダイオキシン類は微量になり測定が困難だったが、近年は比較的少ない採血量で測定することが可能となった。

裁判では、カネミ及びPCBを製造した鐘淵化学工業の責任が問われたが、和解が成立。その後、鐘淵化学工業は、同製品と保管中のPCB合わせて約5500tを、自社高砂事業所で焼却処理した。この事件をきっかけの一つとして、1972年からPCBの新たな製造が行われなくなり、1973年に制定された化審法(化学物質審査規制法)により、製造と輸入が全面的に禁止された。

被害者対策としては、長崎県が治療方法の調査や審議を行う油症対策協議会を設けて、被害者検診や被害者の健康管理指導、患者の認定診査を行った。国は1980年代に原告の一部へ仮払金を支払ったが、1997年に仮払金返還の動きに出た。患者や支援団体は全面救済を求める動きを強め、2007年に仮払金返還免除の特例法が成立した。油症認定患者を対象とする健康実態調査も行われた。そして2012年8月、「カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律」(カネミ油症救済法)が成立した。

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